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 1979年のノーベル平和賞受賞者であり、コルカタ(旧カルカッタ)の聖女と呼ばれた。バルカン半島のマケドニア出身でインドで生涯を過ごした。ホスピス「死にゆく人の家」をつくり、子どもたちのための「シシュ?バワン」、ハンセン病患者のための「平和の村」をつくった。
 理念にうたわれているように、修道院の外に出て、貧しさと病気のために倒れていく人たちに温かな場所と食べ物、心あるケアを提供した。
 マザー?テレサより百年以上前に生きたアイルランドの修道女がいた。1787年、イギリスの植民地として虐げられていたアイルランドにマザー?メアリー?エイケンヘッドは生まれた。
 イギリス清教徒革命のリーダーとして名高いクロムウェルはアイルランドに対して弾圧と虐殺を行い、貧困、飢え、病があふれていた。生活は貧しく、死期を迎えても、温かな部屋で家族でみとることすら困難な人びとがいた。
 幼いころカトリックに目覚めたエイケンヘッドは18歳で「慈善修道女会」に入り、フランスなどで教えを学び、祖国に戻って活動を始めた。塀の中の修道院ではなく、塀の外に活動の場を求めた。特に貧しい人々、病める人々を対象として、最後の時に人間らしい、温かなベッドと優しいケアを、と願い、その場所を「ホーム」と呼んだ。
 飢饉(ききん)や疫病の時は病室や路地裏を病む人を求めて歩き回った。彼女の遺志を継いで死後20年たって、ダブリンに「聖母ホスピス」がつくられ、近代ホスピスの基となった。エイケンヘッドの志を継いだ修道女たちは世界各地にホスピスを広げることになる。オーストラリアやイングランド、スコットランドにも彼女たちの活動は広がった。