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 何よりも、子どもたちの視点を大切にしようと08年2月、福岡都市圏に住む4―10歳の男女計11人に集まってもらい、ワークショップを開催。「こんな薬があったらいいな」とのテーマで、11人に紙などで工作に取り組んでもらった。
 すると「マラカス注射器」や「おなかの調子を治すガム」「薬占い」「イチゴの香りのチューブの塗り薬」といった13作品が誕生。平井さんは「子どもたちは薬に対し、楽しさ、安心感などを求めていることが分かった」と話す。
 そうした子どもたちの思いやアイデア、さらに平井さんが指導する大学生や大学院生らの意見も踏まえながら、同グループは08年中にモデル品10点を完成させた。
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 これらのモデル品は、複数の製薬会社に実用化を提案するなどした。ただ商品化まで手掛けるつもりはないという。「あくまで世の中に問題提起するために作ったモデル品」と平井さん。
 その一方で、NPO法人「こどもとくすり」と連携し、子ども専用のお薬手帳「けんこうキッズ」(32ページ)を商品として昨年、完成させた。同手帳は「こどもとくすり」により販売され、約1万冊が売れたという。
 同グループは今後「子どもが利用しやすい薬局の店舗デザイン」などに取り組む計画。平井さんは「子どもだけでなく、お年寄り向けも考えてみたい。例えば、たくさんの種類の薬を服用する高齢者が飲み忘れをしないよう、デザインを工夫した薬入れなどを作ってみたい」と話している。